強い風景写真とは何か
「語れる写真」
先日のEMAフォトスクール写真展ギャラリートークで、月刊フォトコン編集長の藤森邦晃さんから、とても印象に残る言葉を聞きました。
「語ることのある写真は強い」という言葉です。
風景写真を撮っていると、どうしても美しい光景や珍しい条件を追い求めたくなります。
朝日が美しかった。
夕焼けが鮮やかだった。
霧が出た。
雪が降った。
もちろんそれらは写真の魅力になります。
しかし、それだけでは作品としての強さにはつながらない、と藤森編集長は話されました。
例えば審査員や編集者が作品について語ろうとしたとき、
「朝日が赤くてきれいですね」
だけで終わってしまう写真と、
「なぜこの場面に心を動かされたのか」
「何を伝えようとしているのか」
「どんな物語が見えてくるのか」
まで語ることができる写真があります。
その違いこそが、写真の強さなのだと思います。
私はスクールでもよく、
「何に惹かれたのですか?」と問いかけます。
それは作品づくりの出発点がそこにあるからです。
構図や露出、レンズ選びは大切です。
しかし、それ以上に大切なのは、「なぜシャッターを切ったのか」という撮影者自身の心の動きです。
撮影現場で難しく考える必要はありません。
ただ一つ、
「私は何に惹かれたのだろう」を見つけてみてください。
光なのか。
形なのか。
色なのか。
静けさなのか。
あるいは、その場所に流れる時間や物語なのか。
その気づきが作品の核となります。
そして後から写真を見返したとき、タイトルやキャプションを書いたとき、講評を受けたとき、その核が作品の個性として現れてきます。
美しい景色を撮ることは誰にでもできます。
しかし、自分が何に心を動かされたのかを写し込むことは、その人にしかできません。
だから私は、技術の前に「感じること」を大切にしたいと思っています。
写真は景色を写すものではなく、心が動いた瞬間を残すもの。
その積み重ねが、やがて「強い風景写真」につながっていくのではないでしょうか。
EMAフォトスクール写真展「瞬との遭遇」は、6月11日まで富士フイルムフォトサロン名古屋にて開催しております。
全国から集まった38名の作品には、それぞれの「何に惹かれたのか」が込められています。
お近くにお越しの際は、ぜひ会場で作品と向き合い、写真が語りかけてくるものを感じていただければ幸いです
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